こんにちは、さむさんです。
今回紹介するのは、仲川遥香さんの『ガパパ! 〜AKB48でパッとしなかった私が海を渡りインドネシアでもっとも有名な日本人になるまで』。
JKT48に所属する仲川さんは、かつてはAKB48のメンバー。AKB48ではシングル曲の選抜メンバーともほぼ無縁の非選抜アイドルでした。劇場公演以外の仕事はほとんどない状況で、申し訳ありませんがパッとしなかったのは否めません。
しかし、JKT48に移籍してからは異国での慣れない生活も乗り切り、JKT48でも主力メンバーとして周囲から認められる存在に。さらには、ソロ活動でもインドネシアで視聴率ナンバーワンのテレビ番組のレギュラーに抜擢されるような大活躍です。
私が海外に飛び出しましたのも、彼女と同じ2012年です。そういう意味で元々親近感も感じてましたし、ジャカルタでの活躍を聞くたびにすごく刺激になりました。
そんな仲川さんが、JKT48を2016年末に卒業する前に4年間の奮闘記を出版されたわけです。
これはアイドルに興味がある人向けの本というより、今の自分が伸び悩んだり、現状が冴えないと思うのなら、自分が必要とされる場所に自ら行くことが大切ということを教えてくれる本です。
この本が参考になるのは、海外に飛び込みたい人はもちろん、自分の殻を破りたい人じゃないでしょうか。特に海外で駐在員として現地拠点を担当する人は必読です。
現地に溶け込むのも語学を習得するのも、とにかく体当たりだった仲川さん。しかし、その方向性は間違ってないし、仲川さんが現地で成功できたのもうなずけます。そんな海外でサバイブするためのエッセンスもつまった本です。
仲川さんがどうジャカルタでサバイブして成功できたのか、私の経験や感想と照らし合わせつつ、以下紹介しましょう!
目次
目次
まずは目次の一部を抜粋しました。
第一章 愛と渋滞のインドネシアへようこそ!
いきなりアメーバ赤痢がお出迎え
デング熱からの生還。そして夢のステージへ など第二章 この国でもっとも有名な日本人になるまで
手痛い洗礼を受けたテレビデビュー
国民的番組で大失態。今度こそ消される!? など第三章 バリじゃなかった!「神様はジャカルタにいる」
職人技が光る、ワイルドな木製ステージ
チフスをBINGOで三大風土病コンプリート など第四章 私がたった半年でインドネシア語を使いこなせるようになったわけ
外国語は短期集中型で覚えた方がいいかも
インドネシア語をインドネシア語として覚える など第五章 椰子の木の道で「あなたの解雇を夢に見る」と言われてしまったら私の10年間はどう終わってしまうのか、私なりに何ヶ月かジタバタした上でのやや気恥ずかしい解決策のようなもの
これがニッポン名物"愛のムチ"!
超えたのは国境ではなく「人を信じられなかった自分」 など第六章 今の自分のままでうまくいく!最高に輝ける場所を見つけるための「7つのポイント」
今の場所を出ることで幸せになる など
なぜジャカルタでサバイブして成功できたのか
そして、なぜ仲川さんはジャカルタでサバイブして成功できたのでしょうか。本書にある重要なポイントについてまとめてみました。
現地の人と深く付き合うには「自分との勝負」で殻を破る必要
もう一つの理由は、思い切って海外移籍したのは良かったけれど、たぶん、挑戦することから逃げるクセがついていたんだと思う。
海外で現地の人たちと深い付き合いがしたければ、どこかで「自分との勝負」をしないとダメだと思います。どこかで勇気のハンマーをふるって、それまでの殻を破らないといけない。
それとチャンスを逃さないこと。
私は一度、確実に逃しました。来て早々、メンバーが私に興味を持ってくれたのに、「自分との勝負」から逃げてしまった。
※「ガパパ!」P41より
海外に住むようになって最初の関門が、仲のいい友達を作ったり現地に溶け込むということ。
ただでさえ最初は刺激たっぷりでかつ慣れない生活ですから、同じ日本語で話せる人たちと一緒のほうが楽なんですよね。
同じように海外で頑張る仲間として、同じ日本人と積極的に付き合うのは全く悪くありませんし、むしろ精神衛生上いいことだと思います。しかしそればかりだと、いつまでたっても完全にその国の環境に馴染めません。
私の場合も、最初に私に興味を持ってくれた人に対して、もっと積極的に関わっていけばよかったなぁと思ってます。特に日本人だと、相手にベタベタしたり迷惑かからないよう一線を引いて遠慮しがちですよね。
むしろアジアの人は、日本人からするとベタベタするくらいの付き合いを好みますね。ちょくちょく連絡したり、困ったら遠慮なく相談してくれるくらいのほうが、ちゃんと友達だと思ってくれてるんだな、とプラスに考える傾向があります。
みんなが目を丸くしてビックリしています。
それはなぜか?私がスプーンではなく手を使って直接食べたからなんです。
(中略)
「すごいねハルカ!まるでインドネシア人みたい。ビックリした。」
驚いたのは手で食べる前と後では、みんなの私に向ける笑顔があきらかに変化していることでした。同じ笑顔でもなんていうか、食べた後のは、みんなすごくリラックスして愛情にあふれた感じの笑顔なんですよ。
※「ガパパ!」P47-48より
そんな仲川さんが現状を打破したのは、メンバーに誘われたお泊まり会でインドネシア料理を食べたときのこと。しかも手づかみで。
最初は得体の知れない料理だったにも関わらず、思い切って挑戦した仲川さん。お上品な都会の人と思われがちな日本人が手づかみですから、現地の人にはすごく大きなインパクトでしょう。
手づかみにするかはともかくとしても、現地の人と仲良くなる最初のつかみとしては、現地の食べ物に挑戦するのが一番です。私もそうでした。
もちろん、好みに合わない苦手な食べ物のこともあるかもしれません。正直、インドネシアやミャンマーあたりで最初から屋台だと、大多数の日本人にはキツいと思います。でも最初から断るというのではなく、一口くらいは挑戦する姿勢を見せたほうがいいんじゃないでしょうか。
東南アジアなら、ドリアンあたりがうってつけでしょうね。現地の人でも好き嫌い別れるくらいですから、日本人がドリアンをむしゃむしゃ食べたら、きっと喜んでくれますよ。(私は正直まだ苦手だったりします(汗))
頭で日本語に訳すのではなく、現地語は現地語で覚える
「セラマパギィ」は日本語で「おはよう」という意味になります。でも、「おはようは、セラマパギィ」とは考えません。
朝に人と会ったら「セラマパギィ」とあいさつするんだ、って覚えます。
もちろん、日本では朝に友達とあったら「おはよう」って言っていました。けれど、「セラマパギィ」を覚えるときは、今まで朝に人とあっても何も言ってなかったつもりで覚えます。
私が覚えるときに気にするのは、日本語の意味ではありません。
私が気にするのは、「これはどんなときに使う言葉なのか?」と「この言葉を使うと、相手はどんな反応をするのか?」です。
※「ガパパ!」P150より
これは間違いないです。外国語を日本語に訳していたら、いつまでたっても会話はできるようになりません。逆に、外国語を外国語で覚えていたら、文法は微妙でも会話でコミュニケーションはとれます。
日本の学校では英語を和訳するのに時間を使いますが、和訳をするクセがつくと、そこでスピードがガクッと落ちるんですよね。相手が言うことを和訳したり、自分の言うことを日本語から外国語に訳したりだと、会話でコミュニケーションをするには遅すぎます。
といっても、日本人の多くが訳するクセがついているのが現実です。私は場数を踏むことで、和訳しないで外国語で覚えたりコミュニケーションがとれるようになりました。会話する場数を踏むなら、外国人の友だちを作ったり、オンライン英会話を使うのがいいでしょう。
会話が難しければ、その前に外国人とチャットでコミュニケーションをとれるようになるのを目指してもいいですね。外国人と知り合ったら、まずはLINEやWhatsApp、またはFacebookメッセンジャーあたりで積極的にチャットしてみてはいかがでしょうか?
仲川さんと同じく、TwitterなどのSNSやブログを外国語でやるのもアリです。日本人は文法のほうが得意ですから、会話よりとっつきやすいかと思います。
事前の準備より本番のアドリブで乗り切るのに慣れる
ある年のカウントダウンライブのときに、前日が土砂降りの雨だったせいでステージの中央が大きく凹んだことがありました。水が溜まっちゃって大変でしたね。
でもメンバーはそんなに気にしません。リハーサル中に見つけて「ここ腐ってまーす」「ここに穴が空いてまーす」って言って本番までに修理してもらいます。
本番までに直らなければ、コンサート前のミーティングで「下手に穴があるので近づかないでください」なんて注意を出します。AKB48ではありえない注意事項でしょう。あははは。
※「ガパパ!」P112-113より
海外では、日本のように事前準備をきっちりやって本番に備えることはあまりないです。本番直前でも色々と変更はありますし、事後に告知されることも少なくありません。
私がクアラルンプールで働いていた米系IT企業でも同じですね。米本社からの指示はかなりアバウトですし、直前や事後での周知連絡はちっとも珍しくありません。こちらから上をつついているからマシではあり、それすらしないと完全に放置される可能性すらあります。
最近では、マレーシアで全銀行のシステム変更のため、キャッシュカードを年内に交換するように指示が出ました。それも12月の中旬にアナウンスされたので、連日銀行は大行列らしいです。
このように海外生活は、仕事でもプライベートでも予期せぬハプニングに巻き込まれたり、想定通りにならないほうが多いでしょう。最初のうちはそれに振り回されてイライラするかもしれません。
しかし、イライラしても自分たちだけではどうにもなりません。常に想定外のことが起こりうるので、本番のアドリブで解決することになるのは覚悟されたほうがいいと思います。
日本のやり方を押し付けるのではなく、根気強く理解してもらう
当たり前のことでも、あえてみんなに考えを言ってもらうことでこんなに変わるなんて驚きでした。それと同時に、今までいかに答えを押し付けていたかを痛感しました。
「運動前にストレッチするのは当たり前でしょ?」と言えば10秒で終わります。
ストレッチをすることでケガが防げることを説明して、3分で済みます。
けれど、自分は何も言わずにメンバーからの意見を待ってから話し合うとなると、30分はかかるでしょう。
でもこの方法ならば、みんなが心から納得できるのです。
※「ガパパ!」P204-205より
若手が集まる チームT のキャプテンを任された仲川さん。しかし、若いメンバーを日本式にビシビシと指導したら、キャプテンを辞めてほしいと言われるくらい反発されてしまいます。
日本人同士でもそうですけど、納得出来ないのに押し付けられたら反発はしますよね。まして日本と常識が異なる国で生まれ育ったメンバーはなおさらです。仲川さんもメンバーに納得して理解してもらうのは、日本人を相手にする時以上に大変だったことでしょう。
海外で日系企業で働くと、日本人はローカルの社員を管理する役目につくことが多いです。しかし、ローカル社員の管理は本当に難しい。元々常識が違う人たちである上、日系企業のやり方は良くも悪くも世界とは違うスタイルなのが、なおさら難しくさせます。
でも、ほとんどがお互いのコミュニケーションが十分でないのが原因なんです。お互いのバックグラウンドが違うのだから、お互いが納得できるよう十分なコミュニケーションが必要。私の経験でも、何度も根気強く話し合わないとわかってもらえません。
まとめ
以上、この本を読んだ上でポイントをまとめてみましたが、とても全部ブログで書ききれないくらいポイントがたくさんあります。
海外に出たいというモチベーションが刺激されたり、前向きな気持になれる本です。興味を持たれた方は、ぜひ読んでみてください!
それでは、また!