『だから、居場所が欲しかった。』から海外就職後のサバイバルを考えてみる

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こんにちは、なぐもさむです。

久しぶりに書評です。

『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』で開高健ノンフィクション賞を受賞された、水谷竹秀氏の最新作となる『だから、居場所が欲しかった。』

今回も東南アジア在住邦人に関するノンフィクションの著作ですが、舞台はバンコクです。

海外就職後にバンコクでの起業や帰国して転職などステップアップに成功した人、非正規労働者や夜逃げなどで日本に居づらくなった人、LGBTの人やゴーゴーボーイにハマった女性など、バンコクのコールセンターに勤務する様々な日本人が登場します。

ボンビーガールに出てくるような、プール付きコンドミニアムに住んで休日は近隣諸国のビーチでエンジョイ!といったキラキラした海外就職とは対極の話なので、おそらく読後に重たさを感じることでしょう。

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しかし、海外に居場所を求めるというのも、海外就職のもう一つのリアルな面です。

本作は、海外就職のキラキラしたり意識高い面とは違う角度で、もう一つのリアルな面を丁寧に偏りなく取材されていると思います。

ただ、これを読んで「だからコールセンターに勤務する連中は、考えが甘くてダメなんだ!」というのは、ピントがずれているし大きな間違いでしょう。

本作にも登場するように、時間に融通のきくコールセンター勤務を生かしてその後ステップアップしていった人は確かに存在します。

私の周りの海外就職後にステップアップした人を見ても、その後ステップアップした人たちは現地にいた時からその後に備えて何らかの行動を起こしていました。

そこで今回は、本作を読んだ上で、海外就職後にどのような行動を起こして今後の人生をサバイバルしていくべきかを考えてみます。

だから、居場所が欲しかった。_1

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海外就職はコールセンターも現地採用も通常と違う道

ここまで読んで「これはコールセンターで勤務する人の問題で、自分は関係ないのでは?」と思った現地採用の人がいらっしゃるかもしれませんが、それは違うと思います。

なぜなら、コールセンターでも現地採用でも、多くの人のように日本で働いて築くキャリアとは違う道を進むことになるのは変わらないからです。

今後自分がどのようなキャリアを築いて生きていきたいのか、日本で働いていた時以上に考えて自ら動かないと、後で取り返しの付かないことになります。

コールセンターも現地採用も海外就職は日本で評価しにくい

私は好きではありませんが、現地採用の間でもコールセンター勤務者を低スキル低収入として下に見る風潮があるのは事実です。

確かに、プログラマーの言語みたいに経歴書に分かりやすく書けるスキルが身につくわけでもなく、オフィスでも日本語のみで仕事するので語学力も身につく環境ではありません。

更に給与の低さもあるので、コールセンターの求人は転職エージェントからは紹介されないのがほとんどです。

しかし、日本に帰国して転職しようとなると話が変わってきます。

コテコテの日系企業ほど、業種を問わず海外で働いた経験を判断しようがなくて、高く評価しない傾向があるのは否めません。

海外で働いた経験を高く評価してくれるのは、外資系企業が多かったりします。

私の周りでも、日本に帰国して転職がすんなり決まったのは、転職先が外資系企業の人がほとんどでした。

このように海外就職後は、日本に戻ってもキャリアの選択肢は多くの人とは違うわけです。

居心地はいいけど、クールな視点も忘れずに。

確かに、海外就職を実現して現地に在住している間は、私のように日本のメインストリームから外れた人間には居心地がいいでしょう。自分の気に入った場所なら尚更です。

しかし、我々外国人に現地で就労できるビザが発給されているのは、現地人には無いスキルを持っているからなのを忘れてはいけません。

そして、求められるスキルは時代とともに変化していきます。

例えば、日本語のコールセンターでは日本語のネイティブスピーカーであること自体がスキルになりますが、現地人が日本語で対応できるのならわざわざ日本人を雇う必要がありません。

中国やマレーシアでも、日本語で電話対応できる現地人はかなりいるのが現状です。

まず、今後自分は現地でずっと生きていくのか、それとも近い将来の帰国も想定するか、その方向性をクールな視点で考えましょう。

そして、その方向性を実現するためには、今持つスキルに何をプラスしていけばいいのか。

そのプラスするものを身につけるため、必要な行動を起こしましょう。

どのように行動を起こしてサバイバルするか

ここでは、本作の登場人物を元にして必要な行動について考えてみました。

最初の職場は現地の生活に慣れるためのウォーミングアップ

だから、居場所が欲しかった。_2

私は海外旅行に慣れてたつもりでしたが、やはり旅行と生活は違います。

海外での生活は、最初のうちは海外旅行に慣れた人でも戸惑いの連続でしょう。

実際に現地で働き始めたら、今後について色々と考えも変わるかもしれません。そういう意味で、最初の職場は現地の生活に慣れるためのウォーミングアップとして使うのはアリです。

第三章のコールセンター勤務後に起業した男性も、まさにコールセンターを現地の生活に慣れるための最初の第一歩として利用したと語っていました。

コールセンターは給料が安くて責任も少ない分、仕事のプレッシャーも強くないので、海外の慣れない生活で疲れている間はちょうどいいかもしれません。

ただし、キャリアや給料をステップアップしたいのなら、現地の生活に慣れたらできるだけ早くコールセンターより給料が高い職場を目指すのがいいと思います。

目的を持たないでずっとコールセンターにいるのは、キャリアは高く評価されませんから。

もっと条件の良い外資系に転職しよう

だから、居場所が欲しかった。_3

前述の通り、日本に帰国する場合に海外就職の実績を評価するのは外資系企業が多いです。

第三章のタイから帰国した男性も、外資系企業に就職しました。

この人は元々英語もちゃんと勉強しており、自分が今後どうしたいかの目的意識もハッキリとしているとのことですので、コールセンター出身だろうが評価されたのは当然でしょう。

そして、現地においても外資系企業に転職することは可能です。

個人的には、日系企業を経験した後は外資系企業に一度は転職するのをオススメします。

日本でも現地でも、一般的に給与面や待遇は日系企業より外資系企業のほうが充実してることが多いです。

また、一度外資系企業で経験があれば、次も別の外資系企業が経験者としてもっと高い給与を提示してくれることは珍しくありません。

このように外資系企業はいい条件でのびのびと働けますから、私の周りで外資系企業に転職した人は、口を揃えてもう日系企業には戻れないと言いますね。

そのためには、最低限でも英語の読み書きや一応の会話ができるくらいは勉強しましょう。

現地のローカルと人間関係を作ろう

だから、居場所が欲しかった。_4

第一章のDJとして活動する男性は、仕事のキャリアというより現地で居場所を見つけて、本人なりの幸せな道を歩み始めた例だと思われます。

彼がそれを実現できたのは、ローカルの友人とのつながりです。

特に本業以外に副業を始めたり、将来現地でビジネスを始めたいという人は、現地で信頼できる人間関係を築くのが必須でしょう。

特に東南アジアでは、誰か一人友達ができたら、食事会にその友達やさらにその友達がどんどんジョインして、輪が広がるのは珍しくありません。

幸い、日本人で現地で働いているという段階で相手は興味を持ってくれるので、自分から積極的に動いて人間関係を広げていきましょう。

といっても、今でも日本人というと金持ちのイメージが根強くあります。

お金目当てで近づいたり、日本人と友達というステータスだけが目当ての連中もいるので、違和感を感じたらそれ以上は深く関わらないほうがいいと思います。

一番安全なのは、大卒でホワイトカラーの仕事に就く中流層の人たちでしょう。

タイでもその階層の人なら英語でコミュニケーションがとれるので、その点でも付き合いやすいと思います。(外国人の友人と英語で話せるのがステータスな面もありますけどね。)

また、将来的に現地で起業する際も、現地の人と結婚した場合は相手名義を使えばスムーズに法人登記ができる大きなメリットがあります。

だから、居場所が欲しかった。_5

一番関わらないほうがいいのは、性産業関係の人です。

第四章のゴーゴーボーイと結婚した女性などのように、性産業関係の男性・女性にハマっている日本人は、特にタイは多かったです。

タイなど東南アジアは階級社会ですから、そういう仕事に就くのは下の階層が出身の人達で固定されます。

日本から海外に出る人たちは一定以上の教育を受けた人が多いでしょうが、彼らは義務教育レベルですらまともに終えているかどうかといった階層の人たちです。

現地の上中流層の人たちも、日本や欧米の人が性産業関係の男性・女性を囲ってるのに対しては視線が冷ややかです。

それでも彼ら彼女らと深く付き合うのなら、相手は私たちには当たり前の常識やマナーが欠如していたり、金づるにされる可能性が高いのは覚悟されたほうがいいと思います。

現地の言語を覚えて、現地のスペシャリストを目指そう。

第一章のコールセンターから現地採用のホワイトカラーに転職できた女性は、タイ語を勉強していたのが評価されて転職に成功したように思われます。

例えば、バンコクで日本人が働くような会社は、タイでも大卒が入るような会社がほとんどのため、社内の共通語は英語が使われることが多いです。

しかし、現地のタイ人と深く関わる職種の人だと、タイ語ができることのメリットは大です。

工場の生産管理などでキャリアがある上に、タイ語で現地スタッフとコミュニケーションとれるなら、工場の現地スタッフとの橋渡し役として重宝されるんじゃないでしょうか。

グローバルな外資系企業で英語が使える人はたくさんいますが、タイにおいてタイ語が使える外国人は希少価値があります。

どうしてもその国で生きていきたいのなら、その国に深掘りしたキャリアもアリですね。

子供がいる場合はより慎重に考えよう

だから、居場所が欲しかった。_6

第二章の日本で夜逃げした人は、奥さんとお子さんも一緒に連れてタイまでやってきました。

奥さんはタイ人だからともかく、お子さんは日本の高校生。

日本の高校を辞めた上にタイでも現地の学校でしたから、たとえタイで大学まで卒業したとしても、日本では高校中退の中卒と同じような扱いになります。

このようにご家族と共に海外に行く場合は、同行するご家族の人生にも大きな影響を与えることになるのは忘れてはいけません。

中でも一番大きいのは教育面です。

お子さんを日本人として育てるか、それとも現地人として育てるかの決断に関わります。

日本人として育てて、日本に帰国するのも想定するのなら、日本の学校と同じ課程として認められる日本人学校にお子さんを通わせるのが一番無難でしょう。

しかし、日本人学校は私立みたいなものですから、入学金や学費もかかります。

駐在員は会社負担で日本人学校に通えますが、現地採用の給料だと厳しいかもしれません。

インターナショナルスクールはもっと学費が高くなるので、更に厳しいでしょう。

逆に現地人として育てるなら、お子さんを現地の学校に通わせることになります。

公立は日本以上に学級崩壊してる学校もあるので、外国人なら私立のほうがベターでしょう。金銭面でも日本人学校よりは負担が軽いようです。

しかし、それは日本の学校の課程を経ていないことになるので、もし日本に帰国することになった場合は、お子さんに大きな負担が発生する可能性が高いです。

日本の義務教育を修了していない場合は、その負担はさらに大きくなるでしょう。

それだから、お子さんがいる人は海外就職にはより慎重になってほしいですね。

まとめ

以上、本作を読んだ上で、海外就職後にどのような行動を起こして今後の人生をサバイバルしていくべきかを考えてみました。

海外就職の動機は人それぞれでしょうが、皆さんも様々な動機で決断されたと思います。

私自身も、プール付きコンドミニアムに住んだり海外で付加価値をつけたいなどのキラキラした動機と共に、寒い日本の冬が嫌いで、日本の会社を鬱病で退職したから環境を変えたかったという動機もありました。

だから、今の生きづらい環境を変えて海外に居場所を求めるのは、全然おかしくありません。

誰もがキラキラしたり意識高い動機で海外に行くわけじゃないし、最初のきっかけなんてどうだっていい。その後、現地でどのように生きていくかがずっと大事です。

海外で働いて生活することにより、日本と違った点でもがくこともあります。

ステップアップを目指して努力したり、現地で掴んだチャンスを活かすために努力したり、惚れた相手との関係をつなぎとめるための努力をしたり。

現地で生きていくため、水面下でそれぞれ自分なりに足をもがいてる、そんな綺麗事じゃないリアルな姿を知ることができる一冊です。

ボンビーガールから興味を持った海外就職を深掘りしたい人は、ぜひ読んでみてください。

それでも海外就職してみたい!という人は、このような流れで就活されたらいいと思います。

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それでは、また!

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